2010年6月20日日曜日

諏訪ものづくりワークショップの企画

6月18、19日長野県の諏訪地方に出かけてきました。
この地方は、精密機械工業を中心とした国内の工業集積地域の一つで、その中の岡谷市はその中でも金属加工が盛んな産業の街です。

そして現在この地域では、技術をどうマネジメントするか?という課題があります。
その課題に対して、デザインの力で応えることはできないかというプロジェクトが始まろうとしています。

今回は、現場を見学し、このプロジェクトの課題やテーマを見つけに行ってきました。
多摩美、千葉工大、京都大学工学系、岡谷の方とデザインと工学系の異分野のメンバーがこのプロジェクトを進めていきます。


12:50
岡谷駅で集合し、工場見学の場「平出精密」に移動しました。
この会社は、精密板金を手がけています。
この会社(というより精密板金)の特徴として金型をつくる必要がないので、少ないロット数でも製造を請け負えるのが特徴だそうです。
製品の試作品の仕事もけっこうあるそうです。
また、良くも悪くも精密板金という分野は、人の技術が完成度に影響します。
昔は機械よりもいいモノをつくれる職人がいたそうですが、今は機械と人の力を併せていいモノをつくる。
機械が得意なことと人が得意なことを組み合わせるというのが現在のモノ作りのやり方だと感じました。

この地域の産業は、オリンパスやエプソンといった大手企業の子会社が集まっている「企業城下町」として発展してきました。
しかし、親会社は別の地域に移り(エプソンは残っていますが)、子会社だけがこの地域に残りました。
そこで、現在この地域が抱えている問題である「営業力の欠如」が発生しました。
技術はあるが、それをどう売れば良いかわからない。
このような問題がこの地域にはあるそうです。
これを放っておくと、いつか中国や東南アジアの国々に負けてしまいます。

17:00
工場見学を終え、今回のミーティングの場へ移動。
蓼科の白樺湖のそばにあるペンションです。

ミーティングはお酒が入りながらです。
今回の一番の焦点は、このメンバーで何ができるか。
ワークショップを行うという大まかなアウトラインはありますが、その目的や内容といった部分の話し合いが行われました。
ここで、キーワードになったのは「コンテクスト」
どこで、誰が使うのかという文脈が重要になるだろうということでした。
諏訪の人が使うものを諏訪で作る。
これがこれからのもの作りの形ではないかと。

この日は、この辺りに収束し、就寝。


6/19 9:00
朝からミーテイング再開。
そして、岡谷駅そばのテクノプラザへ移動。
ここで、今後のスケジュールやワークショップの内容を駆け足で。
とりあえず、10月に行われる諏訪メッセというイベントで、デザインの先生たちがその場で企業の方と組んで、3日間という会期中に一つモノを作り上げる!ということをやってみようということになりました。
当然僕は、その様子をドキュメンテーションします。


最後に僕自身の感想というか思いを。
僕は、来年この付近の企業に就職するかもしれません。
その会社は、情報系の会社なので、直接製造に係わっているわけではありません。
しかし、クライアントはこの地域の企業が中心です。
クライアントのピンチは自分のピンチにもなります。
僕自身、長野県民として、この付近で働く(かもしれない)者として、諏訪地域の問題は人ごとではありません。
なんとか、この地域が良い方向へ向かっていけるように力をつくしたいです。